| 選考委員選評 |
| 高畑京一郎 |
複数の物語が絡み合う構成は面白いが、各ストーリーの登場人物を被らせ過ぎたために、展開が強引になってしまっているのが残念。また、描写ではなく説明で済ませてしまう箇所が多く、読んでいて頭に絵が浮かびづらい。個人的には『メモリーズカプセルコーポレーション』なる会社の業務が面白いと思った。このネタだけで、いろんな物語が描けそう。
|
| 時雨沢恵一 |
青春物語で、こちらも頭の中で実写ドラマ化して楽しみました。最後に綺麗にまとまった箇所も含め、複数のキャラクターの人生がしっとりと描かれていたと思います。まさにタイトル通り。
|
| 佐藤竜雄 |
構成は舞台的。登場人物の設定や個々の人間関係は、この作品を舞台化されたものを見たならば、或いは気にならなかったかもしれない。しかし、小説ではより濃密な情報が無ければ空虚になる。登場人物が全員とも、今に至るまでの人生の歩みを感じないために、何処か高校生が大人を演じているようにも見える。それならそれで、もっと寓意に徹してしまえば良かったかもしれない。
|
| 豊島雅郎 |
映画「P.S.アイラヴユー」に、ちょっと似ていましたね(笑)。グイグイと読ませる文章力は、群を抜いていると思います。当該作品については、活字を引き立てる挿絵が付くと、更なる魅力を発揮できるのではなかろうか……。小生の職業柄、新海誠さん的なアニメを企画しても面白い題材かと思ってしまいましたが、筆者的には如何お考えでしょうか?
|
| 鈴木一智 (取締役・第2編集部 統括編集長) |
各々のエピソードが一人称の語り手を変えながら複雑に絡み合い、最終的に全体の人間模様が見えてくるという興味深い展開。物語の落としどころが決まっていて、そこに向かうように偶然や行動原理が仕組まれている点は賛否ありましたが、この凝縮された人間関係を組み上げた構成力に作家としての資質を感じました。個人的にはケータイ小説的なニュアンスも感じられるので、女性向け小説としての可能性にも期待したいところ。
|