第16回 電撃大賞 入賞作品

メディアワークス文庫賞
「太陽のあくび」
作/有間カオル (東京都)



受賞作品

メディアワークス文庫

太陽のあくび

苦しくなるほど眩しく、そしてエネルギーに満ちた彼らの物語。

著者  : 有間カオル
定価  : 620円(税込)
発売日  : 2009年12月16日
備考  : A6判/370ページ
ISBN  : 978-4-04-868270-1




選考委員選評
高畑京一郎
愛媛のミカン事情の解説から入る出だしに、まず意表を突かれた。しかもそれが妙に読ませる。説明文が的確でうまく、キャラクターの配置と書き分けも巧み。強いて難点を挙げるならば、ストーリー上の障害がどれもあっさり解決されてしまう点。藤堂との確執などは、ぎりぎり最後まで引っ張っても良かったのでは?

時雨沢恵一
メインの高校生達の(大人も出ますが)爽やかな青春物として完成度の高い作品でした。NHKでドラマにできるなあ、などと思いながら読みました。こちらはメディアワークス文庫として文句なしで選ばれました。みかんがとても美味しそうでした。

佐藤竜雄
これこそ正に、今までの電撃大賞では選考されなかったであろう小説。作者の、登場人物達に向けられた優しさもあって、どこか温かくなる内容。しかし、少年側も周辺の大人達も描写がフラットなために、誰に感情移入すればいいのかいささか困ってしまう。主人公である少年の人間的魅力がいまいち伝わらないために余計にその感が強い。バイヤーという職業や通販への着眼点は良かった。

豊島雅郎
ミカンが生放送のテレビ通販番組 「ザ・ショッピング・TV」 に取りあげられることになった! しかし、ミカンは全く売れず、番組は失敗。「奇跡のミカン」は起こるのか!? ……なんかこの、コッ恥ずかしい感じが、逆に今の時代だからこそ好感が持てる要因なのかもしれません。こうなったら、次回作では、更なるベタな境地を探求していただきたく思います。

鈴木一智 (取締役・第2編集部 統括編集長)
愛媛の小さな町と東京のTVショッピング会社を舞台にした、新種のみかんを巡る顛末記。各エピソードのオチが若干弱い部分もありますが、全体としては心温まるドラマとなっており心地良い読後感が残ります。個人的には少年たちの幼い熱意より通販番組の女性プロデューサーの苦悩に共感してしまったのですが、これは私が子供の心を失ってしまったからでしょうか(笑)。

プロフィール
東京都出身。法政大学文学部哲学科卒。双子座。AB型。転職四回。うち倒産理由二回。地味な強運に恵まれ、捨てられることも多いが、拾われることも多く、特に大きな困難にぶち当たることもなしに、とりあえず今のところは平穏無事に生きてきました。デビュー作 『太陽のあくび』 には来年が待ち遠しくなるワクワク感をたっぷり詰め込み、酸味と甘味をきかせた、爽やかな物語に仕上げました。ぜひ、お召し上がりください。

あらすじ
愛媛のとある小さな小さな村で開発された新種の夏ミカン 『レモミカン』。

鮮やかな黄金色の外見と、溢れ出るような豊富な果汁、そして爽やかな酸味が特徴の逸品だ。

テレビの通販番組で取り上げられることになり、村の少年部のリーダー、風間陽介は父と一緒に東京へ乗り込むのだが、番組は失敗。
大量のミカンが売れ残ってしまう──。

父親や片思いの少女らと衝突をしつつも、自分たちが作ったミカンの素晴らしさを信じて奔走する素朴な少年たちを、みずみずしく描いていく。



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