第16回 電撃大賞 入賞作品

メディアワークス文庫賞
「[映]アムリタ」
作/野崎まど (東京都)



受賞作品

メディアワークス文庫

[映]アムリタ

異色の青春ミステリー!

著者  : 野崎まど
定価  : 557円(税込)
発売日  : 2009年12月16日
備考  : A6判/242ページ
ISBN  : 978-4-04-868269-5




選考委員選評
高畑京一郎
選んだ題材についてきっちり調べ、それを噛み砕いて読者に伝える能力に長けている。映画の制作過程を順に追っていく展開は、ともすれば退屈になりがちなのだが、部員たちとの絡みの中で、楽しく読ませてくれる。最後のオチとその動機に関しては若干の疑問は残るが、この子だったらやるかもしれないなぁとも思え、そういう意味での説得力はある。

時雨沢恵一
メディアワークス文庫として選んだ作品です。『幕末〜』 とは逆に、編集部の考えとしては当初電撃文庫として推されていました。物語設定として映画でここまでできるかという疑念は残りますが、ホラーとして最後まで楽しみました。随所にある細かいツッコミのキレが良かったです。

佐藤竜雄
大学生活のユニークな描写と、天才の作り出す映像の恐怖という両極端な要素を持った作品。前者を評価すればメディアワークス文庫賞であり、後者のアイディアを評価すれば電撃文庫大賞となる。それに加えて『幕末魔法士』の位置づけもあって、この作品ほど選考会議で評価がコロコロ変わったものは無かった。ヒロインの捉え所の無さはキャラとしては良いが、その才能の根拠がいささか薄いので、『アムリタ』そのものが浮いていた。そこがかえって怖いとも言えるが。

豊島雅郎
「映画」と「斬新なストーリテリング」の出会いによって、こんなにも幸福でミステリアスな物語になるものか! ……個人的には、今回の候補作の中では一番面白かった。 思慮深い洞察力を持った筆者には、映像を想起させるミステリー系作家として、今後にも期待したいと思います。できたら、実写・アニメの脚本も書いてみていただければとも思いますが、筆者的には如何でしょうか?

鈴木一智 (取締役・第2編集部 統括編集長)
釈然としないまま答えを求めて読み進めるも待っているのは放り投げるような不条理なエンディング、にも拘わらず読み応えがあるという“摩訶不思議な強さ”を持った作品(個人的には「学園ビデオドローム」でした)。小説作法もかなり独特なのですが、そこがまたツボになっているところに天性の才能を感じます。電撃文庫とメディアワークス文庫の狭間を揺れ動きましたが、どちらのパッケージでもこの作品性は活きるでしょう。

プロフィール
「名前を付けてもらった牛は、名無しの牛よりもたくさんの乳を出す」 という話を聞き、ならばペンネームの付いた作家の方がたくさんの作品を世に出すかもしれないと思いましたが、そもそも名無し牛と名有り牛の泌乳量の差は、かけられた愛情の差からくるのであって、自分で自分の名前を考えてしまうような牛は人の愛に飢えている気がしてなりません。はじめまして、野崎まどと申します。何卒よろしくお願い致します。

あらすじ
自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。 その映画は、天才と噂される最原最早の監督作品だった。

彼女のコンテは二見を魅了し、恐るべきことに二日以上もの間読み続けさせてしまうほどであった。

二見はその後、自分が死んだ最原の恋人の代役であることを知るものの、彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が先立ち、次第に撮影へとのめりこんでいく。

撮影は順調に進み、映画は完成するのだが――。



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