| 選考委員選評 |
| 高畑京一郎 |
個々のシーンの見せ方や小ネタの数々が、非常にうまい。それぞれのエピソードの落とし方も面白かった。この作品の主人公は、万丈小夜あるいはヴァンパイア・ファイナンスそのものであって、四つのエピソードの語り手たちではないと思うが、その肝心のヴァンパイア・ファイナンス(およびその母体である夜を創る会)の目的と立ち位置がどうにも判然としない。そのため、読み終えた後、どうしても据わりの悪さが残った。
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| 時雨沢恵一 |
平行していくつもの話が進むので最初はかなりとまどいましたが、トーナメント戦の試合表のように、幾多の話が一つにしゅしゅしゅと収縮していく展開が気持ちよかったです。数々のエピソードを勢いよく読ませてくれた文章力も高く評価します。個人的には、老人達の復讐のくだりが一番痛快でした。
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| 佐藤竜雄 |
暴力的で現代的。そんな短編の連なりが最終的にヒロインの行動原理の謎に触れていくのかと思いきや、尺が足らずに最終回、みたいな感じになってしまって残念。ヒロインの暴力性は魅力的。謎の組織やヒロインとそのスポンサーの関わりが駆け足だったのがあたかも70年代のドラマっぽい感じ。手慣れた感じがする分、そこも計算だったのか?
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| 豊島雅郎 |
個人的には、今回の候補作品群で一番萌えた作品です。プロットのセンスや映像を想起させる文章力には、特に卓越したものを感じました。極めて 「電撃大賞」 的な作品ではないかもしれませんが、現代のノワール文学を牽引する新しい才能だと思いますので、他の出版社さんに負けないよう、アスキー・メディアワークスさんには頑張って囲い込みをしていただけたらと……(笑)
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| 鈴木一智 (第2編集部 部長・統括編集長) |
登場するキャラ達が総じてどこかヘン(笑)という個性的なキャスティング。彼らが繰り広げるバラバラな話が収束していく構成で興味深く読ませます。ただ全体にネタを盛り込み過ぎて、エピソードの一つ一つが小さくまとまってしまったのが非常に惜しい。とはいえシニカルかつ荒唐無稽なオムニバス・ストーリーをひとつの物語にまとめ上げた筆力にストーリーテラーとしての優れた資質を感じました。
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