| 選考委員選評 |
| 高畑京一郎 |
道具立てやキャラ配置、ストーリーラインなどは、ありがちと言えばありがち。だが、その一つ一つに工夫と吟味のあとが見られ、全体としての質を高めている。登場人物たちについても、彼らの心理をその暗部まで含めてきっちり描いているので、血肉を持った存在として感じられる。作品内で提示されているゲームシステムについては、これで秘匿性が保たれるのか、本当に公平なルールなのか等々、若干、疑問が残った。
|
| 時雨沢恵一 |
とても熱く勢いのある作品でした。応募原稿で、“本当の戦いはこれからだぜ” 的展開はマイナス査定となるという話もありますが、今作に関しては決して当てはまりませんでした。肥満でひ弱でダメダメな主人公が活躍するという点も、最後に戦った “敵” の扱いも好ましかったです。まだ話は始まったばかりなので、勢いよく次が出ることを期待します。余談ですが、カレーのシーンで大笑いしました。
|
| 佐藤竜雄 |
バーチャルな世界と現実が日常生活の中で重なり合う世界…… 実はアニメではよく企画に上がる設定だったりするのですが、小説では最近あまりないんですよと言われ成る程なと。描き方がストレートで王道な少年モノの佇まいを感じました。主人公が情けないヤツなのに、何故ヒロインが惹かれるのかというところがちゃんと考えられていたところに感心。良い意味で青臭い作品でした。
|
| 豊島雅郎 |
現在のライトノベル界における王道的な作品であろうかと思いますが、自分にとっては、ひと昔前のSF児童文学的な臭いを感じてしまったところが、最大のマイナスポイントでありました。しかしながら、発散するワクワクドキドキの疾走感は、他の作品を凌駕するに値するものだとも思います。今回の栄えある大賞受賞を今後の糧に、更なる飛躍を期待しています。
|
| 鈴木一智 (第2編集部 部長・統括編集長) |
仮想空間で繰り広げられる格闘ゲームをモチーフにしながら、そこに現実世界のドラマを巧みに絡ませる事により、読み応えのある物語に仕上がっています。平明で読みやすい文章や小気味よいエンディングなどラノベの手法で十全に書き切った姿勢はむしろ潔い。全体としては第1巻的でバーチャル世界の謎も明らかにされていないものの、続編を期待したくなる作品でした。
|