第12回 電撃大賞 入賞作品

選考委員奨励賞
「天使のレシピ」
作/御伽枕 (東京都)


受賞作品
「天使のレシピ」 (電撃文庫)

第12回 電撃小説大賞<選考委員奨励賞> 受賞作が登場!

高校二年の春、俺は同じクラスの少女に呪いをかけられた。
それは強力なシロモノで、ほとほと困り果てている。
気が強いけどどこか抜けていて、呪術とは縁遠そうな女の子のハズなのに……。

これは大切な羽根を失くしたヒトたちと、
それを見守る天使が織りなす不思議な物語。





選考委員選評
深沢美潮
アイデア一発芸……にしなくってよかったんでは? 学校の雰囲気、男の子と女の子のドキドキしてる感じ、その微妙な距離感など、とてもよく書けていました。呪文だ魔法だと言い訳しちゃってるけど、実は当然自分だってわかってるわけで……という落ちでよかったと思いましたよ。そこがちょっと惜しい。でも、文体は好きなので、他のストーリーで読んでみたいなと思いました。

高畑京一郎
恋心を呪いと思い込む事という発想は面白いが、なぜ主人公がそう思い込んでしまったのかが説明不足。そのため、読者が最初に読み違えてしまい、最後までこの話に乗りきれないという現象が起きてしまう。また、本当に呪いと思い込んでいたのなら、それを解くために右往左往する姿を、主人公にはもっと見せて欲しかった。ヒロインとの会話などは瑞々しく、この感性には捨て難い魅力がある。

佐藤辰男(小社代表取締役会長)
女の子に恋した結果、呪いだ魔法だと騒ぐ少年の物語をいじらしくてかわいい物語と思うか、ギミックにしたって陳腐じゃないの、と思うか。といったことはあまり議論にならなかった。素直にはまったのは委員の中では僕だけだったみたい。ウイットに富んだいい小説でした。

鈴木一智(電撃文庫編集長)
第1回以来実に11年ぶりの短編受賞作。恋愛感情を“呪い”と信じ込んでいる天然少年のキャラが良い感じで立っています。短編という事もありダイナミックなストーリー展開には欠けるものの、題材の処理や文章センスなど作品から感じられる作者の感性に惹かれました。この方には是非長編にチャレンジしていただきたい。

プロフィール
1980年4月26日生まれ。東京在住。19歳の時に小説を書き始めるもプロになろうなどとは全く考えず。2004年に知人の絵描きが商業で仕事をするようになったので、羨ましくなって投稿を始める。投稿一年目で目出度く新人賞を獲得する。短編では難しいと思っていたので嬉しいやら驚くやら。大量の書き足しと締め切りと進行状況に戦々恐々とする日々です。

あらすじ
 高校二年の春、俺は呪いをかけられた。
 えらく強力かつ悪質なシロモノで、ほとほと困り果てている。例えば朝、登校してきて呪いをかけた主である魔女と靴箱でばったり会ってしまう。するともうだめだ。先の行動を逐一考えてその通りに実行していかないとどんなヘマをやらかすかわからない。まずは以前の通りに「おはよ」もしくは「ういっす」と言って軽く手をあげて、今日は体育教師がいて服装チェックをやってたネクタイをちゃんと締めろと言われたお前はどうだったあいつジャージ以外の服持ってないのかよ、とか話を振って、適当に喋りながら教室まで行って、周りに挨拶しながら自分の席について鞄を机の横にかけて始業まであと何分か時計を確認し、ああ一時限目は数学だ、と一息つくまでを考える。これが呪いでなくて何だというのか。
 呪いをかけた主と目が合った。
 俺が口を開くよりも先に「おはよう」と声をかけてくる。相も変わらず気が強そうで、でもどこか抜けてて、およそ呪術とは縁遠そうな顔をしている。
 ――その魔女は今、俺と同じクラスにいる。
「呪い」をキーワードに、少年少女の日々を描いた短編小説。少年時代、誰もが経験する悩みを独自のセンスで表現した、“今”を感じさせる作品。



BACK