| 選考委員選評 |
| 安田均 |
大賞並みの迫力で読ませる作品。出だしのホラータッチが生々しく、それからモノ祓い師の登場となり、ややありがちな展開かと思いきや、変貌した主人公たち4人それぞれの生きざまへと、ストーリーが移行していく。この予想外の構成には、当初ややとまどったものの、キャラクターたちの描写が綿密で、ぐいぐい読ませていく筆力は群を抜いている。いろんな作品が書ける人だと思う。これからにも期待大。
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| 深沢美潮 |
のっけから、その世界にすぐ入れるところあたり、すごい! と思いました。ぐいぐいと引きつける力もあり、読んでいて、どうなっちゃうのかな? と、予測がつかない面白さがあります。ただし、主要キャラクターで書けていない人たちがいて、それがとても残念でした。日常がリアルに感じられて初めて活きてくる作品だと思うので、一考を願います。なかなか難しいテーマで、ストーリーもどう集結していくのかと思っていましたが、不思議と読後感のよい作品です。
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| 高畑京一郎 |
ストーリーの構造は、かつての『少年ドラマシリーズ』を想起させ、ある意味で王道と言える。だが、そこからの展開が凄まじく、読む者を驚かせ、また惹き付ける。主人公達を待ち受ける運命は過酷だが、彼らが精神的に逞しく、迷いはあっても常に前向きなので、素直に応援したくなる。所々に描写不足な点はあるが、ストーリーの密度は非常に高い。終盤がやや駆け足気味になってしまっている点だけは、惜しかった。
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| 佐藤辰男(小社代表取締役会長) |
願わくば、最後までホラーで押し通してほしかった。エレベーターでの少年たちの出会いに始まり、からだに変化が現れ、やがて自分が化け物になってしまったことを自覚するあたりまでは異様な迫力があって楽しめた。ただ彼らが引き受けた過酷な運命の源泉である、モノやモノ祓い師の表現がそこだけありきたりで、時代錯誤、リアリティがないものだから、全体として中途半端な印象が残ったのは残念だった。主人公が人間的に熱いものだから、自分が自分でなくなるようなホラー的怖さも希薄だった。
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| 鈴木一智(電撃文庫編集長) |
通常この手の設定は超人バトルになりがちですが、人外の力を持ってしまった主人公達の葛藤がメインとなっており、各々のバックボーンが絡む事により読み応えのある人間ドラマとなっています。重たい作風にも拘わらず読後感が悪くないのは、この作者が読者を共感させる筆力を持っているからだと思います。女性としてこのテイストの作品を書ける才能は希有なのではないでしょうか。
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